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水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c

 第17話『閑話休題』

 エロ本騒動はお約束を破るという意味のわからない展開で終わりを告げた。
虹葉姉と紗桜が抱きしめている姿に嫉妬した音羽がブチ切れて強制的に鷺森家を追い出された俺は着替える間もなく、
両腕をぎっちしと掴んでいる姉妹から逃げられずに女装の姿で帰路を歩いた。
音羽によって丁寧に細工している女装は街中を歩いてもバレることもなく、虹葉姉と紗桜に連行されている姿だけがちらちらと庶民たちの注目を浴びた。
 二週間ぶりに懐かしい水澄家に帰宅すると俺は想像以上に驚いていた。
廊下には生ゴミや燃えないゴミの袋が集められて、異臭を漂わせていた。
どうやら、ゴミの日にゴミを出さなかったせいか、二週間分のゴミが溜まっているようだ。
更にリビングに辿り着くと変な電波ソングが垂れ流されていた。


 つ、つ、つ、つきるるん つきるるん

 素直に監禁したいと言えない貴女も勇気を出して
 恋のまじない 鋸で首の頚動脈切断 溢れだす血で癒してあげる



 大型液晶テレビには先程の鷺森家で起こった出来事が電波ソングと共に編集されて映像として流されている。
コスプレ姿の虹葉姉と紗桜はもちろん。女装した俺の姿ですらちゃんと流れてやがる。
「あっ。お帰りなさい」
 聞き慣れた声の主がキッチンの方から現われてきた。
 水澄家の最強の支配者が笑顔を零して言った。
「今日の夕ご飯は私がご馳走しますよ。昨日の駅前のスーパの激安セールで美味しい肉が超格安で手に入ったのよ。
もう、これは私で一人で食べるよりも皆で食べた方が絶対に美味しいよ」
 昨日の駅前の激安セールってあれか? 
 血の雨が文字通りに降るという激安セール。おばはん一人が死亡。
店員の話では肉を無事に買うことができるのはたった一人しかいないと。他は五体満足のどれが破損するという話だったのだが。
 まさか、冬子さんが……。
「で、この大型液晶テレビはどうしたんですか? 俺が水澄家に出る前はこんなもん存在してなかったし」
「お前らの両親の遺産を勝手に使った」
「立派な横領罪だろ!!」
「問題ありません。問題があるのは月さんあなたじゃないんですか?」
 柔らかなほほ笑みが消えて、真っすぐに俺を睨み付けた。冬子さんが珍しく本気で怒っているようだ。
突如、変貌した冬子さんに俺はおろか、虹葉姉や紗桜も口を挟む事ができなかった。
「この子たちを二週間も放置していたなんて!! 虹葉ちゃんと紗桜ちゃんの精神が壊れる可能性はちゃんと指摘しましたよね。
月さんには厳重に二人の世話をお願いしたはずです。
すでに冗談とパロネタで済まされる問題じゃないんです」
「す、すみませんでした」
「特にその女装!! どうして、男の子なのに化粧しただけでそんなにいい肌をしているのよ。
2○ピー歳の私に対する嫌がらせですか? 嫌がらせですよね。だったら、
文句なしに私は月さんに厳罰な処置を執行する義務があります。保護者代理としてね」
「さ、さすがに我が家に帰ってきた兄さんにそれはちょっと……」
「文句あるんですか? 紗桜ちゃん」
「い、いえないです。特になしです」
 冬子さんの剣幕に圧されて紗桜は慌てて俺の弁護を撤回する。
あまりにも気弱な子犬は野性の本能に従い危険な強者には絶対的な服従しているように見えた。
「待ってください。どんな、どんな、おしおきを月君にするの?」
「女装して喜んでいる変態月君を
 手足を縛り、長期間自宅で監禁」
 マジですか?
「じゃあ、監視役はお姉ちゃんがやってあげるからね!!」
 嬉しそうに喜んで虹葉姉はコスプレ衣裳の尻尾を振っていた。弟である俺を庇うという気持ちよりも俺を監視する事の方が大切らしい。
「やるなら今からです。さっさと準備しましょう」
 残された夏休みは家で強制的に監禁ですか?
 夏休みの最後の日まで紐に縛られて冗談なく監禁されていた。
しかも、女装した格好でだ。冬子さんの怒りは思っている以上に相当怒っていたのだろう。
女装している男性の方が自分よりも綺麗な肌をしており、それを認めるのは女性として致命的なものである。
現実逃避のために俺を部屋に監禁して欝憤を解消させる気持ちを理解できないわけはない。
ただ、監禁されていたとしても、虹葉姉と紗桜がちゃんと監視の役割をちゃんと果たしているおかげで
孤独な気持ちにならなかった事だけが幸いか。
「月さん。もう、夏休みの最後の日です。明日からは新学期ですから、月さんの監禁は今日で終わりにしましょう」
「ええ……。いい加減に終わらないと俺の体力と精神力が持ちません」
 長期による監禁で俺はやつれてしまっている。体重も格段に痩せ細っていた。
まあ、食事は虹葉姉と紗桜からあ~んって感じで口を開けて無理矢理食べさせられていたおかげで餓死する事はなかったが。
「わかりました。解放しましょう。最後に月さんには偉大なる黄金伝説に挑戦してもらいます。いいですね」
「なんですかそれ」
「夏休みの課題を一日で終わらせなさい!!」
 あっ……。
 それは今まで記憶の忘却の彼方に置き忘れていた事実。
「夏休みの課題は終わってねぇ!」
 終業式の日に水澄家を飛び出し、二週間の期間を鷺森家にお世話になってから。
冬子さん主導による監禁生活の間に夏休みの課題を仕上げる時間はあったのか? 
いや、もちろんない。夏休みの課題は全く手を付けていなかったのだ。
 その事を思い出すだけで俺は顔を真っ青になっていくのが自分でもわかる。
「や、やばい。どうしよう」
「じゃあ。私はこれで帰りましょう。虹葉ちゃんも紗桜ちゃんも明日から新学期だけど月さんの事をよろしくお願いしますね。
目を離すと一体何をやらかすのかわかりませんから」
「はい。月君の面倒は私にど~んと任せてください!!」
「かったるいけど。私も兄さんの面倒はしっかりみます」
 三人の嫌味たっぷりな会話を耳に入らずに俺は必死に夏休みの課題を仕上げるために
拘束している紐を自分の口で切り裂いてやろうと頑張っていた。

 こうして、俺の夏休みは最大の負債を抱えて終わりを告げるのであった。

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